クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
新年早々、その女性はやって来た。
「お世話になります。金子理江です。」
ハキハキと大きな声で話す、顔の造作も大きな女性だった。
背も高く、胸や腰も和優に比べたらボリュームたっぷりだ。
又、それを隠さないピッタリとしたVネックのセーターを着ているので
和優や田辺は目のやり場に困るほどだ。
柊哉が連れて来たその人は、彼にピッタリと張り付くように寄り添い
甘えた様に、背の高い彼を見上げて言った。
「凄いお屋敷ねえ。嬉しいわ、ここに置いてもらえるなんて。」
その態度に、普段は雇い主に対して礼儀をわきまえている田辺が口を挟んだ。
「それでは、次のお勤め先が決まるまでのご滞在でよろしかったでしょうか?」
「そうだ。田辺に全て任せる。」
ひと言だけ指示して、柊哉は仕事に戻ろうとした。
「え~っ!まだお仕事なの?」
ひと際大きな声で理江は柊哉を呼び止めたが、彼は返事もせずに出て行った。