クールな社長は政略結婚したウブな妻を包容愛で満たす
四人でちゃぶ台を囲んで座ると、妙子が緑茶を入れてくれた。
「今日はゆっくりしていってね。」
「ありがとうございます。でもお店、放っておいて大丈夫ですか?」
「自動ドアが開くと音がするし、内側からも店に出られるんだよ。」
「わあ、便利ですね。」
「お正月過ぎて、今が一番ヒマだしねえ。」
「あ、今日はお恥ずかしいんですが…召し上がっていただきたくて。」
和優はそっと、包んで籠に入れた数種類のパンを差し出した。
「すげえンだよ、和優ちゃんのパン。天然酵母で作ってんだ。」
「ほお~。」
昔ながらのイースト発酵のパンを作っている幸三が一番に手を出した。
妙子も興味深そうに、クルミとドライフルーツを混ぜ込んだパンを手に取った。
「これは…。」
幸三はもう二つ目のゴマを入れたパンを食べている。
「何て言うか…香りがいいなあ…。」
「うちの店のコッペとか、アンパンとかとは違うねえ…。」