ふんわり王子と甘い恋♡
雨に濡れる中、フワリくんは着ていた黒いパーカーを脱いで。
雨に濡れるあずりん先輩の頭に、ぶっきらぼうに被せた……
「…、」
見なきゃ、よかった……
フワリくんが、女の子に女の子扱いをするところなんて、見たくない。
誰かに優しくするところなんて、見たくない。
あずりん先輩は嘘をついていない。
もし、あるとするのなら。
もし、今見えたことに意味があるのなら。
その意味はきっと……
好きなのは、あずりん先輩じゃなくて、
きっと、
好きなのは、
フワリくんのほう……
フワリくんは、
あずりん先輩のことが、好き……?
「、…」
本気で見なきゃよかったと思う光景に、もう顔も上げられない。
「なな、どした?」
目の前に座るミネが不思議そうに私を見る。
もうダメ。
もう無理。
もう私、失恋決定……