ふんわり王子と甘い恋♡



「もう別れたけどね。今ね、付き合ってるときに借りてたCD返してたの」

「……そ、です、か」



こういうとき、なんて言えばいいのか……私にはわからない。


あずりん先輩は笑ってるけど、もしかしたら本当はものすごく辛いのかもしれないし、……それとも本当に吹っ切れて笑えてるのかもしれないし。


それを見分けるだけの経験が、私にはない。



「……わ、別れたって」

「瞬くんね、元々私みたいなのはタイプじゃないんだ」

「タイプ……?」

「どっちかっつーとさ、ほら、高橋みたいな、守ってあげたくなるような可愛い子が好きなんだと思う」

「、…」



なんて返事をしていいのか……わからない。



「でもね、何を血迷ったのか、告白したらOKしてくれたんだよね、去年の体育祭のとき」

「……」

「でもやっぱ、合わなかったのかな。他にできたみたい、気になる子」



あずりん先輩は……きっと、まだ好きだ。


絶対、好きじゃないはずがない。


わかっても……かける言葉がなにが相応しいのか、わからない。



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