ふんわり王子と甘い恋♡
先輩たちの買い物が終わるのを待っている中、学食へ向かう生徒が増えてきたことに気がついた。
みんなお腹が空いてきて、休憩に入る係が多いのかな。
ザワザワと、一気に賑やかになってくる。
「俺ら、教室、戻ってよっか。」
「……、ハイ」
菊池先輩に一声かけて、フワリくんが歩き出すあとに私も続いた。
……と、いうより。
一気に増えた人混みの中、フワリくんに手首を引っ張られて歩いた……が、正しい。
なんで、手首掴んで、……
緊張は、当然掴まれた右手首に集中する。
「、…」
私の右手とそれを掴むフワリくんの左手に、青いミサンガ。
近づいたお揃いの青色が……嬉しそうに揺れている。
購買から遠ざかって行くと、徐々に人の数が減っていくけど。
手首は、まだ掴まれたまま……
それがスッと離れたのは、人が全然いなくなった廊下の隅だった。
手は離れたけど、そのまま歩き続けるフワリくんの白い背中をじっと見ながら私も歩く。
歩きながら飲んでみたコーヒー牛乳は、もうぬるいのに、やっぱり美味しかった。
……。
あれ。でも私、なにかを忘れているような……。
……。
「うわ!」
「!?」
思わず飛び出た声に、前を歩くフワリくんの肩がビクッと揺れた。