ふんわり王子と甘い恋♡
「もー俺あっついわー。ただでさえ暑いのに、放課後デートとか見ちゃうと更に暑いわー!じゃ、俺忙しいから、またね」
「瞬く、!」
持っていたうちわで顔を仰ぎながら、春田先輩は私たちの横を通り過ぎて行ってしまった。
私も……暑い……
「も、ほんと、ごめん……」
「……だいじょぶ、デス」
カーッと染まる顔を隠すように俯いて、とにかく元来た道をひたすら戻った。
春田先輩のお陰で舞い戻った気まずさが、会話を全部奪ったみたいに静かな空間を作りだす。
一体今日何度目の気まずさなのか……
歩く廊下に流れる沈黙が、恥ずかしい。
「……、」
「、…」
き……気ま、ずい………。
とてもじゃないけど隣なんて歩けないから、少し後ろを歩くけど。
後ろ姿にだってこんなに緊張しちゃうのに、それに加えてのこの気まずさは……相当キツイ。
というか、心臓が……持たない……。
結局何も話さないまま、購買を通り過ぎ、渡り廊下を渡り、そこはもう学食の前。
ザワザワと、さっきよりも人が多い。