ふんわり王子と甘い恋♡



「もー俺あっついわー。ただでさえ暑いのに、放課後デートとか見ちゃうと更に暑いわー!じゃ、俺忙しいから、またね」

「瞬く、!」



持っていたうちわで顔を仰ぎながら、春田先輩は私たちの横を通り過ぎて行ってしまった。


私も……暑い……



「も、ほんと、ごめん……」

「……だいじょぶ、デス」



カーッと染まる顔を隠すように俯いて、とにかく元来た道をひたすら戻った。


春田先輩のお陰で舞い戻った気まずさが、会話を全部奪ったみたいに静かな空間を作りだす。


一体今日何度目の気まずさなのか……


歩く廊下に流れる沈黙が、恥ずかしい。



「……、」

「、…」



き……気ま、ずい………。


とてもじゃないけど隣なんて歩けないから、少し後ろを歩くけど。


後ろ姿にだってこんなに緊張しちゃうのに、それに加えてのこの気まずさは……相当キツイ。


というか、心臓が……持たない……。



結局何も話さないまま、購買を通り過ぎ、渡り廊下を渡り、そこはもう学食の前。


ザワザワと、さっきよりも人が多い。



< 195 / 638 >

この作品をシェア

pagetop