ふんわり王子と甘い恋♡
衣装係の1-3に入ると、そこは戦場と化していた。
本当に切羽詰まっているらしく、「私語禁止!」と黒板にでかでかと書いてある。
「あ、ななっ」
私を見つけてくれたのは、ドアの近くでミシンがけをしているミネだ。
「なんか大変そうだね、手伝うことある?」
「もー、ほんと大変!ななのあずりん先輩が来てから、超スパルタで」
「え?」
いつから私のあずりん先輩になったんだろうって、そこに思わず笑ってしまった。
「あ、ななっ、どうだった?フワリくんのお手伝いっ」
気を利かせて旗係を手伝わせてくれたヨッコが、待ってましたとばかりに作業を中断して駆け寄って来た。
私はもう、今までの出来事をみんなに話したくて話したくて、うずうずが止まらないでいる。
「もう、もう、……!私ほんとに死ぬかと思ったのっ。心臓がね、もう信じられないくらいの速度で。……だって名前いきなり呼ばれるし、手引っ張られるしっ、ひと口ちょーだいって」