ふんわり王子と甘い恋♡
3年生の女子たちには聞こえないように、興奮しながらも声のボリュームだけは間違えないで報告する。
だってもう、こんな夢みたいなことがあっていいのかってくらいの出来事が、今日だけで全部一気に起こった感じ。
今まで我慢してきた緊張が一気に体を抜けていって、ようやく安心できる空間に戻ってきたから……
「だってね、雄介先輩も菊地先輩も高橋さんって呼ぶのに、フワリくんだけななちゃんってっ」
「う、え!?菊地先輩いたの!?」
大きくなったヨッコの声を止めるように、隣のミネが焦って口を押えた。
3年の先輩たちに、聞こえそうだったから……
「いたっていうか……途中からなぜか……学食に一緒に行くことになってしまって……」
「え、うそズルイ!羨ましい!」
「ごめん……。ヨッコ呼びたかったんだけど、そんな状況でもなくて……」
「学食~……」
私にとってフワリくんがいない学食での時間は、ただの試練の時間だったけど、
ヨッコにとっては至福の時間に思えるんだから、恋って不思議。