ふんわり王子と甘い恋♡
見えた3年2組は、一番行きやすい階段側にあった。
「うわ、うわ、どうしよもゆぴー、緊張で心臓が、」
「大丈夫、私がいる!」
ギュッと手を握られて、震える体を支えてくれる。
うぅ……もゆぴーありがとう!
「あのぉ、原田の妹ですけど、お姉ちゃんいますかぁ?」
3年2組の後ろのドアから顔だけを出し、1番近くにいた人に尋ねた。
「あー、原田?はーらーだー、あれ?いねぇ」
「あ、今友達に漫画返しに行ったからすぐ戻ってくるよ」
「なになに、原田の妹なん?」
「はい、今年入学してきました」
フワリくん……
フワリくん……
教室の中、あんまりジロジロ見られないけど、フワリくん、いるのかな。
おおはら、せんぱい……
「大ちゃーん、コーヒー牛乳ー」
私の横から教室に入っていった男の先輩が、2つ持っていたコーヒー牛乳をポーンと投げた。
どうしてか、スローモーションのように見えるその光景を凝視する。
宙を舞ったコーヒー牛乳が、辿りつく場所。
そこに、フワリくんが……
「……」
「…、」
目が、合った……?
一瞬すぎてわかんない。
わからなすぎてわかんない。
わからなくてでも会えて、ストローを刺すその飲み物になりたくて。
もゆぴーの制服をぎゅっと握った……