ふんわり王子と甘い恋♡
「よっしゃあ、次は目指せフワリくんと会話だ!」
張り切ってそう言った聡美は、拳を高く掲げている。
「会話って、話すってこと?」
「当たり前じゃん、いつまでも影でコソコソしてても始まんないでしょ」
「話す…話…はな、…は、……」
「ちょっとなな?」
「……」
「うお、思考停止した!」
「まじどんだけ純情なの、あんた!」
「だからななは可愛いんだもんねー」
会話って……話すって、
想像しただけで、思考が停止するのに……
無理、すぎる……
「てか私もフワリくん見たかったなー」
「私もー、噂のフワリくん見たーい」
フワリくんフワリくん言う女子を、きっと男子は誰に恋してんだって飽きれて見てる。
昨日の玄関での待ち伏せに参加できなかった女子たちが、フワリくんをひと目みたいと望んでて。
もはやフワリくんは、このクラスの女子のアイドルだ。
「フワリくんバス通かな?電車?自転車?徒歩?」
「あーそれ大事だね」
「ななは徒歩だからぁ、一緒に帰れる方向が理想だよね」
「でも登下校で見たことないな……」
「てことはバスか電車?」
バスか電車、かぁ。
全然違う方向なのかな。