ふんわり王子と甘い恋♡
「あ、ななー!」
その途中、ヨッコに呼ばれて足が止まる。
「あずりんせんぱーい、なないましたよー!」
大きな声で叫んだヨッコの後ろから、あずりん先輩が現れた。
私と同じTシャツと、同じハッピ。
うちのチームのハッピは白い生地で、背中にはスーパー菊地ブラザーズって書かれている。
見渡す全校生徒が色んな色のTシャツやハッピに染まっていて、カラフルで面白い。
いつもとは全然違う雰囲気で、初めての体育祭、やっぱりわくわくが込み上げてくる。
「高橋みーっけ」
「ぉ、ななちゃん、だ。」
「おー、雑用ちゃん」
「あ、高橋ちゃんおはよー」
ヨッコの後ろから現れたのは、なにかとお世話になった3年生たち。
旗係がみんないるから、さっき運んでいたのは1年生、かな。
「もー、ななのこと捜してたんだよ」
「え、なんで?」
「あずりん先輩が捜せーって」
「佐伯すげぇ騒いでたの」
同じ衣装に身を包むチームメイトたち。
その集団を引き連れてきたヨッコの横には、菊地先輩がいる。
「さーて、早速だけど高橋、ちょっと失礼」
「え、?」
私が着ているハッピをグイッと引っぱって、あずりん先輩は持っていたマジックでなにかを書きだした。
なに、書いてるの?