ふんわり王子と甘い恋♡
「ツインテールちゃん♪」
隣にいたのは、山本先輩……
「あ、おはようございます」
「うん、おはよう」
フワリくんじゃない先輩の前では、普通に声が出るのに。
さっき、トイレの前で会ったとき、結局、フワリくんにはおはようございますすら言えなかった。
「高橋に触んじゃねぇぞ、チャラ男」
「いいねぇ、ハッピにツインテールもなかなかいいねぇ」
触んじゃねぇと言われたはずなのに、山本先輩の手は私の髪を持ち上げた。
「ツインテール、俺のため?」
「友達に、無理矢理されたただけ、です」
「だよねー」
「、…」
山本先輩はチャラ男だけあって、距離感が若干近い。
最初は怖そうなイメージしかなかったけど、今は怖くはない……けど、近い。
「触んなっつってんのに、どこまでもチャラいな」
「いいじゃん、ななちゃん嫌がってないし」
「先輩に嫌ですなんて言えねぇだろ普通!」
「ん?んー……まぁどっちでもいいじゃん」
「よくねぇよ!」
「、…」
あずりん先輩と山本先輩のやりとりに、顔は勝手に苦笑い。
胸の中は痛いのに、楽しいことが目の前で起これば、心を置いて、顔は笑う。
人間の仕組みって……意外に複雑。
「、…?」
どこからか……視線を感じた。
感じるほうに、目を向けた、ら……
「、…」
「……」
後ろのほうに座っているフワリくんと、目が合った、けど……
合った瞬間、すぐにプイッと逸らされた。
「、、…」
避けられた?
いや、そもそも私じゃなくて、あずりん先輩を見てただけ、かも……