ふんわり王子と甘い恋♡



「……ん?」



でも待って。


フワリくんがあずりん先輩に告白してないのなら。


それはイコール、あずりん先輩のことを好きじゃないってことで、いいの?


それともほんとは好き?


好きだけど気持ちを押し殺して、あずりん先輩の恋を応援してる?


それともまったく別に好きな人がいる、とか……。


あれ。


なんかまた、振り出しに戻ったような……。



あれれれ……。




「ななちゃん?」

「ぅ、……ハイ、」



考え込んでいたら、急に顔を覗き込まれた。



「なに、どした、の、」

「イエ、、…なんでも、……ない、デス、」



挙動不審になる私を見て、フワリくんが可笑しそうに笑う。


恥ずかしくて俯いたら、遠くから、声が聞こえた。



「ななー!みんなで写真撮ろー!」

「すぐるー!お楽しみ中悪いけど、写真タイムだからそのかわい子ちゃん連れて来てー!」


「お、たのしみ、って……」

「…、」



閉会式が終わって、生徒たちがバラバラと散らばる中。


みんなが、私たちを呼んでいる。



「行こ、っか、」

「、ハイ…」



立ち上がって、みんなの元へ歩き出す。


見ていた背中は、いつの間にか隣に並んだ。


今日の朝も、競技の後も、隣に並ぶことのなかった背中が……今は、隣。



フワリくんと、……最初で最後の体育祭が、


もうすぐ、……終わる。


< 340 / 638 >

この作品をシェア

pagetop