ふんわり王子と甘い恋♡
「……ん?」
でも待って。
フワリくんがあずりん先輩に告白してないのなら。
それはイコール、あずりん先輩のことを好きじゃないってことで、いいの?
それともほんとは好き?
好きだけど気持ちを押し殺して、あずりん先輩の恋を応援してる?
それともまったく別に好きな人がいる、とか……。
あれ。
なんかまた、振り出しに戻ったような……。
あれれれ……。
「ななちゃん?」
「ぅ、……ハイ、」
考え込んでいたら、急に顔を覗き込まれた。
「なに、どした、の、」
「イエ、、…なんでも、……ない、デス、」
挙動不審になる私を見て、フワリくんが可笑しそうに笑う。
恥ずかしくて俯いたら、遠くから、声が聞こえた。
「ななー!みんなで写真撮ろー!」
「すぐるー!お楽しみ中悪いけど、写真タイムだからそのかわい子ちゃん連れて来てー!」
「お、たのしみ、って……」
「…、」
閉会式が終わって、生徒たちがバラバラと散らばる中。
みんなが、私たちを呼んでいる。
「行こ、っか、」
「、ハイ…」
立ち上がって、みんなの元へ歩き出す。
見ていた背中は、いつの間にか隣に並んだ。
今日の朝も、競技の後も、隣に並ぶことのなかった背中が……今は、隣。
フワリくんと、……最初で最後の体育祭が、
もうすぐ、……終わる。