ふんわり王子と甘い恋♡
「みんなでね、写真撮ろうって」
「うん、撮ろう撮ろう」
「菊はリーダーだから真ん中ね」
「おっけー」
「すぐるは旗持って端な!」
「……。」
ごちゃごちゃ並んだチームのみんなが、わいわい騒ぐ。
私の周りには、いつもの女子たちでいっぱい。
あずりん先輩は菊地先輩の後ろで、両手を広げて誰よりも目立っている。
「撮りますよー」
別のチームの、カメラを任された生徒が声を上げる。
みんなが一斉に、カメラに向かって決めポーズ。
「もう1枚いきまーす!」
フワリくんと私の位置は遠いけど、同じ写真に写れるってだけで嬉しい。
フワリくんの思い出の中に、未来に残る写真の中に、一緒にいられることが嬉しい。
「なに話してたの?フワリくんと」
「……なん、だろう、」
「ん?」
「……なんか、……特に」
「なにそれ」
ヨッコに聞かれて、特に積もる話をしたわけでもないことに気づく。
なにしてたのって聞かれても、的確な答えは見当たらない。
フワリくん、私とあんなところにいて、退屈だったんじゃないかなって。
急に不安になってきた。
そもそもなんで、私はフワリくんとあんなところにいたんだろう。
あずりん先輩を1人にするためなら、テントに戻るだけでよかったはずなのに。
「はい、撮りましたー!」
写真撮影は無事終了。
これで……本当に、全部が終わった。