ふんわり王子と甘い恋♡



「え、早っ!……なに、早っ!?」



あずりん先輩が、廊下にいた。


教室の中じゃなくて、3年生の階の廊下。



「そこ、に……たまたま、いて、」



ラインを見て、ものの30秒後に目の前に立つ、私たち。


少し息が切れるくらい、階段を駆け上った。



「いや、まさかこんな早いと思わんくて……まだ準備、出来てないわ」



準備?



「ほら、体育祭の写真をね、スーちゃんが色々撮ってたの。スーちゃんんち写真屋でね、家でプリントできるから2人にもあげよーって。んで、できた写真持ってきてくれてんだけど、まだ分けてないんだよね」

「写真、もらえるんですか?」

「うん、いいカメラで撮ったやつだからやばいよ。今スーちゃん分けてると思う。時間ある?」



時間は、いくらでもある。


だからヨッコと一緒に、何度も頷いた。


久しぶりの3年生の階は、やっぱり少し、居辛い。


でもあずりん先輩と一緒なら、なにも怖くはない。



「じゃ、スーちゃんとこ行こ」

「はい、!」



1週間会えなかったフワリくんに、会えるかもしれない。


会えたらなんて言おう。


考えても、きっと本番では言えないけど。


だって緊張が、すごすぎる。


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