ふんわり王子と甘い恋♡
「知らんけどさー。人生1度や2度、きっとあんじゃん?現実逃避、したくなること」
「……」
あずりん先輩は、やっぱり、すごく大人。
自分の未来や人生についてちゃんと考えたことのない私は、やっぱり子供。
現実逃避をしている自分なんて、全然、うまく想像もできない。
大人になってる自分なんて……まだまだ遠い、夢の先みたいな感じだから。
「なんてね。言ってみたけど、まぁ現実逃避したくなるほど逃げたいなら、逃げたほうがいい気もするし、やっぱよくわからんわ」
「出た、佐伯の適当精神」
思わず笑ってしまったけど、あずりん先輩の傍にいると、いつもそう。
一緒にいるだけで、周りも自分も笑ってる。
「そういえば、最近大原先輩いませんね?」
「、…」
多分、私のため。
聞いてくれたヨッコの質問の答えを、待ってた、ら。
「あー、あいつ最近、あの子のとこばっかだからね」
「……」
菊地先輩が、席を立ちながらそう言った。
あの子……。
ダレ……。
あの子は、多分女の子。
だって男子のことを、あの子なんて言わない。
春子さんなのか。
愛原さんなのか。
それとも、どちらでもないのか……