ふんわり王子と甘い恋♡



「あの子って、」

「できたー!」



ヨッコの声は、スー先輩の声に負けてしまった。


あの子が誰なのか……聞くタイミングは、きっともうない。



「はい、こっちが伊集院ちゃんの分で、こっちが高橋ちゃんの分ねー」



受け取ったのは、写真が入った可愛い封筒。



「ありがとう、ゴザイマス、……」

「ありがとうございます」



誰……


あの子って、ダレ……



頭の中が、渦をまくみたいにグルグル回る。


あの子あの子あの子あの子あの子……


グルグルグルグル、あの子が回る。



「いいなー写真。俺も欲しい」

「えー、男子はもらってもどうせすぐなくすでしょ」

「いや、なくさないし。葉子ちゃん、ちょっと見せて」

「ぅ、あ、ハイ!」



席を立ったあと傍に来ていた菊地先輩が、ヨッコと同じ机を囲んだ。


……羨ましい。


だって2人、すごくいい感じに見えるから。


私は、フワリくんに会えない上に……あの子。


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