ふんわり王子と甘い恋♡
「菊ー。私とスーちゃんトイレ行ってくるから、その子たちよろしくね」
「うん。……ん?なにが?」
「ほら、3年の教室に1年だけじゃ居辛いでしょ。私らいなくなるから、面倒見ててあげて」
「あー、はいはい」
あずりん先輩がトイレに行くなら、私ももう教室に戻りたい。
だってフワリくんはいないし、もうこれ以上、悲しい情報は聞きたくないから。
でもヨッコはまだいたいだろうから、最後まで付き合うのが友達だ。
「お、楽しそうな写真ばっか。つーかこの佐伯、すご」
「あはは、あずりん先輩すごい必死に応援してる」
「周りみんな競技じゃなくて佐伯見てんじゃん」
「ほんとだー」
「……。」
私、むしろいないほうがいい?
2人だけにしてあげたほうがいい?
楽しそうに写真を眺める2人を、会話に参加しないでぼーっと見てた。
だってなんか、この2人もう、
「ツインテールちゃ、」
「ヤ、マ、……!」
「、…」
聞こえた声に心臓が跳ねて、
ぼーっとしてた意識が引き戻された。
駆け巡る心臓の音の中、静かに後ろに振り向く、と……
「、…」
「……。」
真後ろで、私の髪を触ろうとしていた山本先輩の手の、……向こう。
ドアのところに、戻ってきたフワリくんが、立っていた。