ふんわり王子と甘い恋♡



フワリくん……だ。


1週間ぶりの……本物のフワリくんだ。



「おー、おかえり大ちゃん」

「……。」



フワリくんが、無言で私たちのほうに歩いて来る。


心臓が、……更にバクバク騒ぎだす。



「、…」



フワリくんの手に……青いミサンガが……




ない。




チラチラと、何度も確かめるけど……やっぱりミサンガなんて、全然見えない。


山本先輩も雄介先輩も菊地先輩も、みんなつけてる青いミサンガ。


なんで……フワリくんの手首には、ないの。



外した……の?


噂のあの子に、言われたから?


それとも自分で、外したくて?


わかんないけど……ショックが大きい。




「ななちゃん。」



呼ばれて顔を上げたら……1週間ぶりのフワリくんが、私を見てた。



「……、ハイ、」



ドキドキ鳴る音よりも、ズキズキ鳴る音のほうが今は大きく聞こえる。


だってせっかく会えたのに……見たくなかった手首と、知りたくなかったあの子が、悲しい。



「ちょっと、来て。」

「ぇ、…」

「こっち、」

「、…」



教室の……多分、フワリくんの席のほうに、歩きだしたから。


黙って着いて行ったら、フワリくんはイスに座った。



「ここ、座って、」



『ここ』は、前の席のイス。


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