ふんわり王子と甘い恋♡



「お前浮気すんなよー」

「うる、せ、」



フワリくんの声なんて聞かないで、雄介先輩は向こうに戻って行った。


私は……真っ逆さまのまま。


あんなにきゅんきゅんしてたのに……今はもう、目の前が真っ暗。



「も、あいつ、バカだから、……気にしない、で、」

「、…」



気にしないでって……できないよ。


ハイ、なんて……言えないよ。



「、ごめん、……長く、引き止めちゃって、」

「……イエ、」

「みんなんとこ、……戻って、いい、よ、」

「、…」



彼女ができたのかもしれない。


私の知らないうちに、体育祭とかで告白されてて……彼女がいるのかもしれない。


私があずりん先輩のことばかり気にしてたから……


その間に……



「あ、戻る?」

「うん、…」



菊地先輩と山本先輩と話していたヨッコが、私を見つけて立ち上がった。


ヨッコはすごく、幸せそう。


私とは対照的な、幸せオーラが羨ましい……



「じゃあスー先輩、写真、ありがとうございました」

「うん、またねー」



先輩たちにお礼を告げて、3年生の教室を出た。



1週間ぶりのフワリくんは、変わらずに優しかった。


だけどもう、1週間前とは違うのかもしれない。


彼女が……いるのかも。


もし彼女がいたら……失恋、てこと。


私の恋は、本格的に終了……てこと。


悲しさを隠すために窓から見上げた空は、今日もやっぱり青かった。


だけど少し滲んで見えるのは、ぼんやりと、目に涙が溜まっているから。


私の恋はこの先、どこに向かっていくんだろう。


もう全然、進む道がわからない。


全部の道が閉ざされたみたいに、なにも……なんにも、見えなくなった。


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