ふんわり王子と甘い恋♡



ヨッコを菊地先輩の隣にするために、私は山本先輩のほうに歩いた。


だけど神様は意地悪だ。


山本先輩の前の席、フワリくんと愛原さんなんだもん……


前を向くだけで視界に入るこの席……私、耐えられる?



「どうぞー」

「おじゃま、します、」



山本先輩ならきっとたくさん話しかけてくれるから、目の前の2人をあんまり気にしなくて済むかもって。


無理矢理……ほんとに無理矢理、気持ちを前向きに持っていった。



「ツインテールちゃんのクラス、なにやるか決まった?」

「ハイ、……一応、」

「なにやんの?」

「メイドカフェ、を、」

「え、まじで!ツインテールちゃんメイドの格好すんの!?」

「あ、イエ、」

「……。」



え、……



山本先輩の声が大きかったからか、フワリくんが突然、後ろに振り向いた。



「ん?なに、大ちゃん」

「……。」



振り向いたフワリくんが、私を、見る。



「、……すん、の、?」

「ぇ、?」

「、……メイドの、……格好、」

「、…」



久しぶりに……フワリくんが……私に話しかけてくれた。


どうしよう……嬉しくて、泣きそう。



「、…しま、せん」

「…、」

「男子が……女装して、する、ので……」

「えー……女装カフェかぁ。萌えれねぇー!」



本当に、2ヶ月ぶり。


フワリくんとの……会話……



「……そ、っか、」

「、ハイ…」



すぐに、前を向いてしまったけど。


愛原さんと、何かを話しだしたけど。


胸がぎゅっと……ぎゅぅっと、掴まれるみたいに苦しい。


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