ふんわり王子と甘い恋♡



1年3組が、ゾロゾロと階段を上っていく。


4階へ向けて、ゾロゾロと。


見えた3-2の文字に緊張はピークに達して、ごくりと飲んだ唾が喉の途中でつっかえた。



「ど、どうしよ、鏡見てない…」



なにがなんだかわからない内に連れ出されたから、フワリくんに会うための準備なんてなにもしていない自分に気づく。


リップだけでもポケットに入れておけばよかった……



「ななっ、これっ」

「これもこれも、私ポケット入ってたっ」



ヨッコが淡い色のリップを塗ってくれて、もゆぴーが小さなチークでほんのりほっぺを染めてくれる。


最後はミネが私の髪の毛をとかすように整えてくれて、“OK!”と親指を立てた。


もう、みんな大好き……



「お前ら早く来いよー!」



そんなことをしていたせいで、1番後ろにいた私たちはパタパタ足を進ませる。


先頭の子たちはもうすでに3-2の教室に入っていて、1番最後に私たちが入った……


< 38 / 638 >

この作品をシェア

pagetop