ふんわり王子と甘い恋♡



教室内は、ザワザワと異様に賑わっていた。


顔をあげられないのは、あげた先のどこかにフワリくんがいるから……



「なな、下向いてたら怪しいから…」



隣のヨッコが小声で忠告。

怪しまれたくはない、と、どうにかゆっくりと顔をあげた。


見えた教室の中は机とイスを出来る限り前に詰めて、ぎゅうぎゅうに座っている先輩たちがいた。


後ろに私たち1年が入るスペースを開けてくれているんだ。



フワリくんを見つけるのは、簡単だった。


丁度真ん中の、前から3番目。


教室のど真ん中くらいの席に、フワリくんはいた。


狭そうな空間の中でイスに座るフワリくんは、両足をイスにのせ、その膝に頬杖着いて若干だらしなく座ってる。


フワリくんだ……


1週間ぶりの、妄想でも想像でもない、本物のフワリくんだ……


前の席のお友達がフワリくんにちょっかいをだして、頬杖着いたその手がお友達に伸びていく。


やめろよぉって感じにパシッと頭を叩く、その光景は楽しそう。



フワリくん、



フワリくんだ……


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