ふんわり王子と甘い恋♡
「ん?目ぇ、腫れてる?」
「ぇ、……イヤ、……」
「チョコ、あげるから泣かないでー」
「、…」
山本先輩がチャラくて、ちょっと笑えた。
持っていた鞄の中から山本先輩が取りだしたのは、マーブルチョコ。
「手、出して?」
「…、ハイ」
「……。ツインテールちゃんさー」
「…?」
「その手の出し方、狙ってる?」
「え、?」
マーブルチョコをくれるんだって思って、両手で受け皿を作った、だけ。
なにか……おかしい?
「そんな萌え系の手を両手でちょこんと出されたら、お兄さんたまんねー」
「、…」
「はい、どーぞ」
マーブルチョコが、ジャラジャラと流れてくる。
手の平に乗った、色とりどりのチョコレート。
「ありがとう、ございます」
「どういたしまして」
山本先輩には、すんなりとお礼を言えた。
気づかないくらい……すんなりと。
「ななちゃん、可愛くて人生得してるでしょ」
「、…」
いっこも……得なんてしたことない。
そもそも、可愛くないし。
ほんとに、謙遜でもなくて……全然。
彼氏なんていたことないし……ナンパだってされないし。