ふんわり王子と甘い恋♡



訂正しようと顔を上げたけど、山本先輩はもう教室にはいなかった。


なんで……勘違いなんて。



「お、いいもん持ってんじゃん」



手の平の中のマーブルチョコ。


色とりどりのそれを……近くに来たきくりんが、1個、摘まんで食べた。



「……」

「ん?いいじゃん1個ぐらい。怒んなって」



怒ってないし。


そんなことより……山本先輩、なんで。


私、なにか勘違いさせるようなこと、したかな。


きくりんを好きだって……思われるようなこと。



「なぁ、高橋さー」



傍に座ったきくりんは、胡坐をかいて、顔を伏せるように床を見た。



「朝、なんで泣いてたの?」

「、…」



聞くかな、普通。


そんなデリケートなこと……聞くかな。



「もしかして、さ。なんかあった?大原先輩と」

「、…」



なん、……で。


本当にバレてたのは、山本先輩じゃなくて、……きくりん。



「……な、……んで、……大原せんぱ、…」

「見てればわかるし」

「ウ、ソ……」



見てればわかるって……嘘だ。


だって山本先輩は全然わかってない。



「……いっつも」

「……」

「見てんじゃん、……あの人のこと」

「…、、、」



私、そんなに見てた?


うそ……なんか急に、すごく恥ずかしい。


< 411 / 638 >

この作品をシェア

pagetop