ふんわり王子と甘い恋♡
訂正しようと顔を上げたけど、山本先輩はもう教室にはいなかった。
なんで……勘違いなんて。
「お、いいもん持ってんじゃん」
手の平の中のマーブルチョコ。
色とりどりのそれを……近くに来たきくりんが、1個、摘まんで食べた。
「……」
「ん?いいじゃん1個ぐらい。怒んなって」
怒ってないし。
そんなことより……山本先輩、なんで。
私、なにか勘違いさせるようなこと、したかな。
きくりんを好きだって……思われるようなこと。
「なぁ、高橋さー」
傍に座ったきくりんは、胡坐をかいて、顔を伏せるように床を見た。
「朝、なんで泣いてたの?」
「、…」
聞くかな、普通。
そんなデリケートなこと……聞くかな。
「もしかして、さ。なんかあった?大原先輩と」
「、…」
なん、……で。
本当にバレてたのは、山本先輩じゃなくて、……きくりん。
「……な、……んで、……大原せんぱ、…」
「見てればわかるし」
「ウ、ソ……」
見てればわかるって……嘘だ。
だって山本先輩は全然わかってない。
「……いっつも」
「……」
「見てんじゃん、……あの人のこと」
「…、、、」
私、そんなに見てた?
うそ……なんか急に、すごく恥ずかしい。