ふんわり王子と甘い恋♡



「よし、じゃあみなさん作業どんどん進めますよ。まず教室内も光の遮断しましょう。ん?愛原なんでここにいんの、お前サボってないで自分のグループ戻って真面目にやれよ。俺たち真剣に作業進めるから、ほら行った行った」

「っ……」



桑野に邪険にされて、愛原さんは口を膨らませて多目的室を出て行った。



「じゃあまず段ボールを窓に張り付けましょう。真っ暗になるよう隙間なくちゃんと貼ってってくださいね」



テキパキ指示を出す桑野……やっぱりすごい。



「この段ボール貼ってけばいいの?」

「そう、ちゃんと貼ってよ、剥がれないように」



傍にあった段ボールを持って、立ち上がる。


とりあえず窓に合わせてみるけど、どう貼りつければいいのかわからない。


この角度でいいの、かな。



「ほら、雄介先輩と大ちゃんさんも早く!」



先輩にも怯まず指示する桑野は、一体何者なんだろう。


名指しされたフワリくんには背を向けているから、どんな顔をしてるのかは見えないけど……きっと、怒った顔ではない。


後輩に指示されたって、多分、いつもと同じ顔。



「貼る、?それ、」

「……、」



斜め後ろから、聞こえた声。


段ボールを窓にあてたものの、ガムテープを持っていなかった私の横に、フワリくんが立った。


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