ふんわり王子と甘い恋♡
「……貼んない、?」
「あ、……貼り、マス、」
「うん、」
私が押さえる段ボールを、フワリくんがガムテープで貼ってくれる。
意外に近くなる距離に、どうしたって緊張する……
『さっちゃん』
頭に浮かぶ、その名前。
その名前を呼ぶ、フワリくんの声。
悲しくなって、隣にいるのが嫌になる。
1枚目を貼り終わって、足は勝手に、フワリくんから逃げてった。
傍にいるのは……もうツライ。
泣いちゃいそうで耐えられない……から。
「あ、私、貼るね」
「お、サンキュー」
もう1個の窓で作業をしているきくりんの手伝いに、逃げた。
逃げても……頭からは離れないけど。
どこまでも、『さっちゃん』が離れないけど。
傍で思い出すよりは……辛くないから。