ふんわり王子と甘い恋♡



「ななちゃん、外靴持って、こっち来て。」

「……ハイ」



履き替えないで、靴を持ってフワリくんの後ろを歩く。


3年生の下駄箱で、フワリくんと一緒に靴を履いた。


多分、怖がりの私を1人にしないために、一緒にいてくれてる。



履き終わって、2人で座ってもりりんを待つ。


早く早くって……教室にいたときよりも、もっともっと早くって。


この時間が、辛すぎるから。



玄関から見える外も、電気が点いてないから真っ暗。


だけどフワリくんが持つ懐中電灯と、外から聞こえる音だけで、すごい雨が降っているのが分かる。


声までもをかき消しそうな……雨の音。



「アノ、」

「ん?」

「今日は、……スミマセン、デシタ、」



雨の音に紛れて……泣きたい。



「、いっぱい、迷惑、かけちゃって……」

「……、」

「スミマセン、…」



怖がっているフリをして、今すぐ泣きたい。


でも本当は……


フワリくんが好きだって、


今すぐ泣きたい……



「迷惑、掛けられてねぇし、」

「、…」



苦笑いでも笑ってくれるこの人は、ズルイ。


そんな風に優しくされたら、私はこれから、どうすればいいの。


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