ふんわり王子と甘い恋♡



「おうすぐる」

「なん、……その頭、」



フワリくんの視線が……物珍しい姿の、あずりん先輩へ移った。



「サザエでございまーす!」

「……。」

「絡んできたからには突っ込めや」

「……恥ずかしい。」

「はぁ!?この格好の私のほうがよっぽど恥ずかしいわ!」

「、…」



あの……


そんなこと、よりも。


フワリくんが、私を呼んだ気がしたんだけど。


気のせい、だった?


勝手に、都合のいい空耳が聞こえただけ?



ヨッコは……また、いつの間にか菊地先輩と一緒に色塗りをしている。


私には逃げ場がないから……どこにも動けなくて、じっと、サザエさんを見た。



「じゃ。マスオさんが待ってるから私帰るわ」

「……。」

「、…」



うそ……。


本気で……あずりん先輩は教室を出て行く。



待って、


今、行かれたら、私……



そんな願いが届くわけもなく、あずりん先輩はもういない。



「、…」



2人きりの教室じゃなくたって……2人だけの空間は、できてしまう。


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