ふんわり王子と甘い恋♡
呼ばれた名前に顔を上げて、フラフラしながら歩きだす、けど。
展開に……全然ついていけない。
「2分後に次のお客さん入れるから、それまでに隠れててね」
「ん。」
フワリくんは私が入るまで入口の幕を持ち上げてくれて、お礼を言いながら中へ進んだ。
幕を境に、中は薄暗闇。
今日は全然怖くはないけど……戸惑いから酸素が回らなくて、脳内は本気でフラフラ。
進む廊下で、壁に手を添えながら歩くけど。
どうしたって、フラフラする。
心臓の速度が、どんどん速くなる。
告白をしようって、決意してきた今日。
絶対しようって……失恋記念日を覚悟した今日。
なのに。
私の前を歩く大好きな人の背中が、……私の決意を揺るがす。
終わりたくない。
消したくない。
いざ目の前にすると、そんな想いが強くなる。
なによりも……
きっと言えない。
こんなにドキドキするのに……面と向かってなんて、言えない。
好きすぎて、普通に喋ることだってまともに出来ないのに……
好きですなんて……大好きですなんて……言えるわけ、ない。