ふんわり王子と甘い恋♡
「具合悪いなら、無理しなくて、いいよ。」
「、…」
「俺、1人で大丈夫、だから、」
届いてほしいのに、
届けたいのに……
このままじゃ私の想いは、いっこも、1ミリも、フワリくんには届かない。
いつだって……
今だって……
これからだって……
全然、届かない……
「大丈夫、デス、」
「、…」
「ちょっと、貧血なだけ、デス、」
立ち上がったら、しゃがんだままのフワリくんが、私を見上げる。
迷惑なんて、かけたくない。
使えない奴って、思われたくない。
せめて……役に立ちたい。
早く隠れないとお客さんが来ちゃうから、足を、進める。
体調を心配してか、前を歩いていたフワリくんが、今度は隣を歩いてくれる。
「無理は、ダメだ、よ、」
「、……ハイ」
優しさに、胸が痛んで泣きそうだけど……泣かない。
泣いたって、なにも変わらない。
今はまだ……泣いちゃだめ。
暗闇の中、辿り着いた多目的室。
教室の端に大きな机が置いてあって、中が見えないように布が被せてある。
その中に隠れる仕組みになっているから、フワリくんが、布を捲った。
「あ、交代?」
「ん。」
机の中には、この時間の当番だった山本先輩と桑野がいた。