ふんわり王子と甘い恋♡



「具合悪いなら、無理しなくて、いいよ。」

「、…」

「俺、1人で大丈夫、だから、」



届いてほしいのに、


届けたいのに……


このままじゃ私の想いは、いっこも、1ミリも、フワリくんには届かない。



いつだって……



今だって……



これからだって……



全然、届かない……




「大丈夫、デス、」

「、…」

「ちょっと、貧血なだけ、デス、」



立ち上がったら、しゃがんだままのフワリくんが、私を見上げる。


迷惑なんて、かけたくない。


使えない奴って、思われたくない。


せめて……役に立ちたい。




早く隠れないとお客さんが来ちゃうから、足を、進める。


体調を心配してか、前を歩いていたフワリくんが、今度は隣を歩いてくれる。



「無理は、ダメだ、よ、」

「、……ハイ」



優しさに、胸が痛んで泣きそうだけど……泣かない。


泣いたって、なにも変わらない。


今はまだ……泣いちゃだめ。




暗闇の中、辿り着いた多目的室。


教室の端に大きな机が置いてあって、中が見えないように布が被せてある。


その中に隠れる仕組みになっているから、フワリくんが、布を捲った。



「あ、交代?」

「ん。」



机の中には、この時間の当番だった山本先輩と桑野がいた。


< 497 / 638 >

この作品をシェア

pagetop