ふんわり王子と甘い恋♡
「じゃあ、あずさまたあとでね」
「本気で置いてくんかい」
私が急かすのに気づいたスー先輩が、多目的室を出ようと歩き出す。
あずりん先輩を置いて足が進むから、腕を持ったまま私も着いて行く……けど。
「ななちゃん、」
私はこれ以上……なにを言われるの。
泣きそうな顔で振り向いたけど、……フワリくんの目は、怖くて見れなかった。
「……ごめん、ね、」
「…、」
グサってくるのは、なんでだろう。
『ごめんね』の理由を考えたら……胸の中に刃物が刺さるみたいに痛い。
何度も突き刺さる『ななちゃんの気持ちに応えられなくてごめん』。
刺さった刃物は抜けそうもないから、このまま倒れてしまいそうな気さえして……強く、スー先輩の腕にもたれた。
「あずりん先輩、スミマセン、……あと、お願いします、」
涙をギリギリまで堪えて、スー先輩と多目的室を出た。