ふんわり王子と甘い恋♡
「……も、ほんと、ズリィな。」
「、なに、が、」
「いい。もういい。行くぞ。」
「、…」
掴む手を離されたと思ったら、その手をぎゅっと握られる。
握った手を引くように、フワリくんは歩きだす。
「自転車、」
「いい。いらない。」
いらない、って……。
置いてくって、こと?
「、…」
空は……暗くなっている。
出遅れたカラスが、鳴いている。
10月の風が、少しだけ体を涼しくさせて……
だけど繋がれた手が……温かい。
「……ずっと。」
「、…」
歩く速度はゆっくりだから……
流れる景色は、いつまで経っても変わらない。
「一緒に、いる、」
「、…」
「多分、ほんとに、…」
「…、」
「ななちゃんが思ってるよりも、……ずっと、だよ、」
何度も何度も泣きそうになる。
フワリくんといたら……私はきっと、毎日幸せすぎて泣いちゃう気がするくらい。
私が想像するよりも、もっともっと遠い未来。
こうやって手を繋いで歩く2人が……目の奥に浮かんでくるから。
「……俺ら、」
「、…」
「今……どこ、向かってる、?」
「あ……」
なんとなくつられて歩いてたけど……打ち上げ会場。
どこ……。