ふんわり王子と甘い恋♡



「なに、見てんの?」

「、…」



今からだって、……きっと卒業してからだって、いっぱい一緒に過ごせるのに。


だけど卒業してしまったら、きっとここで過ごす時間とは、全然違うものになる。


きっと、約束をしないと会えなくなる。


廊下で偶然すれ違ったり、学食でたまたま目が合ったり、体育祭で同じチームになったり、学祭で同じ係になれたり。


そんなことで喜んだり落ち込んだりは、もう二度と、できなくなる。


ずっと一緒にいる未来の中にさえ、こんな時間は、もう二度とない。


林先生が言っていた、高校生活の『貴重な時間』。


フワリくんが卒業したら、私の貴重な時間も、一緒に終わってしまう気がして……すごく、切ない。




「景色、キレイだな、って」

「いつもと同じに、見えっけど、」



2人並んで、窓の向こうを見た。



「大原先輩は、……3年間、この景色、見てたんだな、って」

「うん?」

「私はまだ、2年もあるのかー、……って、」



この際一緒に卒業しちゃいたいなって、思うくらい。


濃い高校生活は、もう送った気がするから。




「違うよ、ななちゃん。」




隣にいるフワリくんを見上げたら……大好きな横顔が、空を見上げてた。




「2年もある、じゃなくて……2年しかない、だよ。」

「、…」


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