白の悪魔と黒の天使
それを飲み終わると、秘書室の電気を消し、帰宅するためにエレベーターに乗った。最上階から一階へ行く途中、エレベーターが開いた。

入ってきた相手に、気まずくなった、麗華。

それもそうだろう。

「お疲れ様」

そう言って横に立ったのは、右近。

「…お疲れ様です」

なんとかそう口に出した麗華だったが、笑顔が引き攣った。

あー、早く一階に着かないだろうか?

麗華はそう願うしかない。

それなのに、また、エレベーターが停まった。

「…ぁ」

麗華は思わず救世主だと思った。

その人は、右近とは逆の位置に立つと。
携帯に視線を落とす。

…一階に着くと、その人が先に降りて、次に麗華が出て、その後を追うように、右近が
降りた。

「灰原さん、ちょっと」

早く行こうとする麗華の手を、右近が強く掴んで止めた。

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