フヘンテキロマネスク

「じゃあ問題ないね」



問題なんて、ありまくりだ。……っていうか、その言い方だともう、わからないのを言い訳にして逃げることができなくなる。



ずっとはっきりさせたいと思っていたくせに、今になってわからないままの方がよかったと思うなんて。



「……って、ごめん困らせて。真咲のこと、人として好きって意味だから」



それが私の反応を察したうえで取ってつけられた言葉だと気づいたくせに、私は臆病だから鈴本くんのその優しさに甘えてしまう。



「うん。私も鈴本くんのこと、友達として好きだよ」



――――ああ、私は本当にずるい。


こんなずるくて卑怯な私、絶対にいつか鈴本くんだって嫌いになる。


そう、思うのに。



「もう、そんな困った顔しないでよ」



そうやって、どこまでも優しく、どこまでも泣きそうに笑うから、私はどうすればいいのかわからない。
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