フヘンテキロマネスク



「うん。適当に撮ったわりには綺麗だから」

「そっか」

「うん」

「……遥輝のこと、まだ好き?」



躊躇いがちに、おそるおそる落とされたその声は、強ばっているように感じた。



「もう、好きじゃないよ」



その言葉は強がりでも嘘でもなんでもないのに、なんでか急に、口に出した途端に目の奥がじんわり熱くなって。


くるくると頭の中で、たくさんの思い出のワンシーンが駆け巡っていく。
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