フヘンテキロマネスク
6
「田代さん。真咲もう帰った?」
「あーうん。もう帰っちゃった」
「.......そっか。わかったありがと」
教室の入口からは死角になる掃除用具入れの陰で、微かに聞こえる会話を聞きながらほっと安堵の息を吐く。クラスメイトからチラチラ送られてくる、なんであんなとこいるんだ?なんて視線はもう慣れた。
「まさちゃん、鈴本くん帰ったけどいつまでそうやって避けるつもり?」
ちっちゃく蹲る私の上に、呆れた声が落ちてくる。さっきまで鈴本くんと話してた声だ。
「う、日菜……、迷惑かけてごめんね」
「いや私はいいけど。私に謝るくらいなら鈴本くんに謝りなよ」
「わかってる、それはわかってるんだけど」
鈴本くんと一緒に出かけてからというもの、私はこうして鈴本くんを避けてしまっている。罪悪感はもちろんあるけれど、それ以上にこわさの方が勝ってしまって。
「……私、本当にダメだなあ」
自分の意思とは反して、やけに弱気で情けない声が出てしまって、余計に気が滅入った。
「あーうん。もう帰っちゃった」
「.......そっか。わかったありがと」
教室の入口からは死角になる掃除用具入れの陰で、微かに聞こえる会話を聞きながらほっと安堵の息を吐く。クラスメイトからチラチラ送られてくる、なんであんなとこいるんだ?なんて視線はもう慣れた。
「まさちゃん、鈴本くん帰ったけどいつまでそうやって避けるつもり?」
ちっちゃく蹲る私の上に、呆れた声が落ちてくる。さっきまで鈴本くんと話してた声だ。
「う、日菜……、迷惑かけてごめんね」
「いや私はいいけど。私に謝るくらいなら鈴本くんに謝りなよ」
「わかってる、それはわかってるんだけど」
鈴本くんと一緒に出かけてからというもの、私はこうして鈴本くんを避けてしまっている。罪悪感はもちろんあるけれど、それ以上にこわさの方が勝ってしまって。
「……私、本当にダメだなあ」
自分の意思とは反して、やけに弱気で情けない声が出てしまって、余計に気が滅入った。