フヘンテキロマネスク
7
「真咲っ、一緒に帰ろ」
鈴本くんと付き合うようになってから、今までに見たことがなかった顔を次々に発見していく日々だ。
放課後になって教室に迎えに来てくれた鈴本くんは、どこか浮き足立ってるような感じ。ずっと大人びている印象だったけど、案外子供っぽい表情が多かったりする。
私が鞄を持って駆け寄れば、くしゃりと嬉しそうに笑う。
「あれ、真咲鞄パンパンじゃん」
「テスト近いから」
「あーそういえばもう2週間前か」
付き合う前も同じような会話をしたなってふいに思い出す。鈴本くんも覚えていたのか、何も言わずに私から鞄を奪っていって、そのかわりに軽くて薄い鈴本くんの鞄を私に押し付けてきた。