フヘンテキロマネスク




「ちょ、ちょっと鈴本くん!歩くのいつもより早い!」



校内を出てから、私と手を繋いでるくせに自分のペースで歩く鈴本くんに、軽く息切れしながら文句を言う。



そうすれば、ピタリとその場に立ち止まった。急に立ち止まるからつんのめってしまいそうになってヒヤッとした。焦る。



「もう、鈴本くんどうしたの!?」

「……べつに、なんでもないよ」

「なんでもないはずないじゃん、そんな態度で」

「……だって、ダサいなと思って」



鈴本くんが私と繋いでいた手を解いて、くしゃりと髪を握りしめる。



「遥輝にわかりやすく挑発的な態度取ったりして、こんなん、余裕ないの丸わかりじゃん」



ほんとう、こんな俺いやになる。そう零した鈴本くんは私から顔を背けた。


……やっぱり、こういうところはすこし子供っぽい。でもそういうところですら気づけば愛おしく思うようになっているんだから不思議だ。

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