フヘンテキロマネスク
2

けたたましく部屋中に鳴り響く目覚まし時計の音に、いつにも増して重い瞼をなんとか押し上げる。


憂鬱に苛まれて、目覚まし時計を手探りでとめた後も中々ベッドから抜け出せずにいた。


……学校、行きたくないなぁ。


よりにもよって保科くんとは同じクラスだから尚更憂鬱だ。保科くんは男女問わず人気だから、別れたこともすぐに噂になってそうだし。


昨日は意地と根性で昼休みが終わってから平然とした顔で教室に戻ったけれど、こわくて保科くんの顔は見られなかった。


いや、見られないっていうか見たくなかったのかもしれないな。


こんな日常がしばらく続くのかと思うと気が重くて仕方ない。まだ9月だというのに、もう既にクラス替えが待ち遠しい。


4月は一緒のクラスになって喜んでたのに、たった5か月前が遠い昔のことみたいで、その温度差に凍えてしまいそう。


……ああ、だめだなぁ。虚しくなるから思い出すのはやめようって思ってるのに。

< 15 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop