フヘンテキロマネスク

約1年付き合ってたから思い出はいくつもあって、ふとした拍子にすぐに思い出してしまう。自分がこんなに未練たらしい女だなんて思ってなかった。


思えば、私は恋をしてから自分が嫌いになったような気がする。


保科くんが他の女子と仲良くしてるところを見て、勝手に嫉妬したり。そのくせそれをひた隠しにして、なんとも思ってないふりをした。


心の狭い女だとか、わがままな女だと思われるのが嫌だったんだ。理解のある理想的な彼女でいようとして、外面ばかり取り繕って。保科くんを好きになる度、自分を失っていくような気がしてた。


保科くんはそんな私の内面を、見透かしていたのだろうか。


だから私への気持ちが冷めてしまったのかな。一度マイナス思考に入ってしまったら抜け出せなくて、ぐるぐると同じようなことばかりが頭の中を巡ってく。



――――こんなことになるなら、もう恋なんてしない。


どうせ恋なんて、いつかは色褪せて消えてくんだ。それならいっそもう知らないままでいた方がいい。



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