フヘンテキロマネスク
「……鈴本くん、なにか用事でもあるの?」
「俺の用事は真咲次第かな。真咲は用事あるの?」
「ないけど、」
いったいなんなんだろう?と思いながらも首を振れば、鈴本くんはニコリ、たおやかに笑って私の手を掴んで。
「じゃあ決まり。一緒に帰ろ。田代さん、真咲もらってくね」
「えっいきなりっ?」
そうして、私の声なんて聞こえてないみたいに、気づけば教室の外へと連れ出されていた。
まるでそれは突風みたいに一瞬で、力強く。