フヘンテキロマネスク
一緒に帰ったのは鞄を持ってもらった日が最後で、それからというもの、一緒に帰ることはおろか休み時間に話すこともLINEがくることもない。
もとの日常に戻ったといえばそうなのだけれど、最後に交わした会話が会話だっただけに、どうしても引っかかってしまう。
そうやって鈴本くんのことを考えていたからか、無意識に目で追いかけてしまっていて、ふいにバチリと目が合ってしまった。
やましいことがあるわけでもないのに気まずさが襲ってきて、どうしよう、とかたまる。けれど鈴本くんはそんな私をまるで最初から見てなかったみたいに、即座に目を逸らして颯爽と駆けて行った。
「あれ?まさちゃんどうしたの?なんかムッてしてるけど」
「してないよ」
「即答したらなおさら怪しいよ…ってあれ、今試合してんの鈴本くんじゃん」
「鈴本くん運動できるんだ。運動くらいできなかったらいいのに」と私情でしかない日菜の呟きに呆れながら、もう一度鈴本くんを見つめた。さっきみたいにタイミングよく目が合うなんてこともなく、一方的に。
もとの日常に戻ったといえばそうなのだけれど、最後に交わした会話が会話だっただけに、どうしても引っかかってしまう。
そうやって鈴本くんのことを考えていたからか、無意識に目で追いかけてしまっていて、ふいにバチリと目が合ってしまった。
やましいことがあるわけでもないのに気まずさが襲ってきて、どうしよう、とかたまる。けれど鈴本くんはそんな私をまるで最初から見てなかったみたいに、即座に目を逸らして颯爽と駆けて行った。
「あれ?まさちゃんどうしたの?なんかムッてしてるけど」
「してないよ」
「即答したらなおさら怪しいよ…ってあれ、今試合してんの鈴本くんじゃん」
「鈴本くん運動できるんだ。運動くらいできなかったらいいのに」と私情でしかない日菜の呟きに呆れながら、もう一度鈴本くんを見つめた。さっきみたいにタイミングよく目が合うなんてこともなく、一方的に。