フヘンテキロマネスク


「ほんとごめんねー。私が最初にサーブ決められてたら……」

「いやいや、どっちみち相手チームに現役ふたりもいたからしょうがないよ」

「そうだよね~。ってか現役出すとかガチだったじゃん」

「いやでもほら…うちのクラスにも似たようなのいんじゃん。男子バスケもサッカーも勝ち進んでるって」

「まじ?まあとりあえずうちらは応援頑張ればいいか!」



結論から言ってしまえば、特になにか大きなアクシデントが起こるわけでもなく、逆転劇があるわけでもなく、普通に負けた。シンプルに負けた。

対戦相手に現役バレー部員がいるの見た時点で結果は見えてたからそこまでの悔しさはないけれど。ただ、ちょっとだけ手加減してほしかったかな、って思ったり。それは負け惜しみとかではなくて。


「そういえば、来栖ちゃんエースの強烈サーブもろ腕で受け止めてたけど大丈夫?」

「うん、大丈夫!でもやっぱりすごいね、めちゃくちゃ強烈だった」

「バシーン!ってやばい音なってたよね!?…って、かなり赤くなってるし内出血っぽいのできてるから一応保健室行っといたほうがいいよ!」

「あ、ほんとだ」



どうりでめちゃくちゃ痛かったわけだ。

今もじんじんと熱を持ってるそこに目を落とせば、点々と内出血ができていた。
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