フヘンテキロマネスク
「頼みってなんなの?そんな賭けみたいにしないといけないようなこと?」
「変なこと要求されるんじゃないかって怖がってんの
?変なことじゃないから大丈夫だよ」
「変なことじゃないなら普通に頼めばいいのに」
不満じみた言葉尻になってしまったけれど、そこは多めにみてほしい。だってわざわざ賭け事のような形をとられたら、どんなことを頼まれるんだろうって身構えてしまうのは当たり前でしょ。
でも、不思議と鈴本くんが嘘をついてるようには見えなかった。鈴本くんの頼みがどんなものなのかなんて検討もつかないけれど、変なことではないっていうのは本当そうだ。
まあそうだとするのなら、余計にじゃあなんでわざわざ?っていう疑問は募るけれど。でももう鈴本くんは詳しいことは話すつもりはないみたい。
真正面から顔を見つめて言葉を急かしてみても、目は合わない。
ぼんやりと虚空を見つめて、
「…俺はただ、自分で自分を試したいだけ」
そう小さく呟いた。