フヘンテキロマネスク
そう思ってスマホを持つ手に最新の注意を払いながら路地の中に入っていくけれど。



「……真咲」

「なに?」

「まーさーき」

「……」

「真咲ちゃん」


あまりに謎すぎる名前攻撃に何事?と思って身体ごと振り向いてしまった。そのせいでスマホには思いっきり鈴本くんが映りこんでる。……せっかくあと少しだったのに撮り直しじゃん。まあ仕方ないか。

それよりも先にどうにかしないといけないのは鈴本くんだ。



「……鈴本くん、どうしたの?」


マイペースだな、とはなんとなく思ってはいたけれど、あまりにいきなりすぎて反応に困るからやめてほしい。


「んー、なんとなく」

「なんとなく!?なんとなくで困らせるのやめて?」

「だって困ってほしいもん」

「いやもっと意味わかんない」



なんなんだろう、この振り回されてる感。まだお店にすら入ってないのにもう既に濃い。
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