ギガンテスの砦
ゴォは逃げなかった。
その背中の先に、集落を背負い転がる岩に立ち向かったのだ。
その時に使ったのが、石斬りの斧で巨岩を真っ二つにする業である。
会得していたとかそういう事ではなく、この時に体得したのである。
岩を叩き割っては、その拳とその脚とで岩を殴り岩を蹴って、そのコースを変えたのである。
血だらけになりながら、身を挺して集落を守ったとして、英雄として祀られたのである。

しかし、そのダメージは当然大きくて、拳と腕の骨と足の甲やら大腿骨に至るまでの複雑骨折と、肋骨が８本と内蔵の損傷で生死を彷徨ったのだった。
石斬りの仕事も引退を余儀なくされて、リハビリを重ねて漸く普通の生活ができるようになったのだ。

小さい村なので、その頃からヒムとは知り合いであり、巨体を買われてその頃から自警団として活動していた。
戦闘部族のヴィグはその頃まだ齢１５くらいで、訓練に明け暮れている時であった。










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