ギガンテスの砦
砦の事を考えていた。
寝ている時間が惜しかった。
ゴォは、今日の事を思い返していた。

ゴォの住まいは、岩に掘られた横穴式の住居である。そこへ干した草を並べて寝ているのだった。
気が昂り、じっとしていられなかった。
穴の外へ出る。
ギガンテスの夜は、白夜に近く仄明るい状態であった。
行こう。
そう決意して、身支度を整え家を出た。

砦の前、月明かりも手伝いよく見えた。
自警団の見回りも出ている筈だが、それには出くわさなかった。
ただ、砦の前に座る岩のような体躯を見てとった。ヒムである。
「何をしている?」
ゴォが声をかけると、別段驚いた様子もなく、眠れなくてな、と答えた。
「そうだな」ゴォも答えた。
「ひとつ、疑問があるのじゃが」
ヒムが語り始めた。
「あの儂を喰ろうた獣よー、喰うんじゃったら噛み砕いて飲むじゃろに、丸飲みしやがった。あれはどういう事なんじゃろか?」
言われてみればそうである。腹から刃が突き出た時は驚いたが、まさか中から友人が出て来るとは夢にも思わなかった。
ヒムは独り言のように。
「あれがこの中から出て来たのであれば、この砦の先には何があるんじゃろうかのう」と。










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