ギガンテスの砦
ヴィグは銀髪の狼・モルに乗って疾走していた。
砦の前を過ぎ、その先でUターンして戻ってきた。
その巨大な岩は、物憂げに聳え立っていて荘厳である。
この先に何がある？
ヴィグの考えは必ずそこに到達する。
そんな時、砦の前ヴィグとの間に何かが落ちてきた。ドサッと音がして、モルと駆け寄ってみると、鳥が落ちていた。
黒い羽と赤い嘴のその鳥は、この村に生息する鳥でその習性から“周回鳥”と呼ばれていた。
村の外れ、巨岩から出ようとせず岩づたいにぐるぐる回る事からそう呼ばれていた。
何かにぶつかったらしく、頭が潰れて目が飛び出していた。即死だった。
ヴィグはそれを確認して、上空を見上げた。砦の上に広がる空を。
何があった？
砦の上、巨大な岩の上へ目を向けた。
砦の上には苔の塊があり、そこへ自生した灌木も見えた。その隙間、一瞬だが人の腕が見えた。空中を弄るような仕草。
その後、ヴィグはずっと見続けていたが
もう腕が見える事は無かった。








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